氷の魔女とイチョウとモミジと探偵と怪盗
「居たわ! 怪盗よ!」
林にホーミィの声が響いた。
「ホントに!?」
スリサズが慌ててそちらに駆けつける。
背丈のそろった人工的なイチョウ林の中で、遠目にも目立つ、一本だけ飛び抜けて育った大木。
その根元に、いかにも怪しげな人影が、縮こまって身を隠していた。
「何でわかったの!?」
「この杖には、魔法の力が込められているのよ!」
「杖はすごいけど、それって推理じゃないから!」
人影が、逃げるような仕草を見せる。
それはメイド服姿の一見地味な栗毛の少女だった。
スリサズの脳裏を、ブリジットお嬢様から聞かされた話が駆け抜ける。
怪盗セルアは、メイドに変装してお屋敷に潜り込んだ。
「逃がさない! フローズン!」
呪文を唱えつつ、チューリップ型の杖を大きく振り下ろす。
スリサズの得意技の、氷の魔法。
「ひやあああ!?」
メイド服少女の悲鳴が響く。
チューリップの花びらの中から噴き出した無数の氷の粒が、蜂の群れのようにターゲットに襲いかかり張りついて…
メイドの頭部だけ残して全身を包み込み、カチコチに固まり、閉じ込めた。
林にホーミィの声が響いた。
「ホントに!?」
スリサズが慌ててそちらに駆けつける。
背丈のそろった人工的なイチョウ林の中で、遠目にも目立つ、一本だけ飛び抜けて育った大木。
その根元に、いかにも怪しげな人影が、縮こまって身を隠していた。
「何でわかったの!?」
「この杖には、魔法の力が込められているのよ!」
「杖はすごいけど、それって推理じゃないから!」
人影が、逃げるような仕草を見せる。
それはメイド服姿の一見地味な栗毛の少女だった。
スリサズの脳裏を、ブリジットお嬢様から聞かされた話が駆け抜ける。
怪盗セルアは、メイドに変装してお屋敷に潜り込んだ。
「逃がさない! フローズン!」
呪文を唱えつつ、チューリップ型の杖を大きく振り下ろす。
スリサズの得意技の、氷の魔法。
「ひやあああ!?」
メイド服少女の悲鳴が響く。
チューリップの花びらの中から噴き出した無数の氷の粒が、蜂の群れのようにターゲットに襲いかかり張りついて…
メイドの頭部だけ残して全身を包み込み、カチコチに固まり、閉じ込めた。