シンデレラは硝子の靴を
式は淡々と進行していき、イベントが始まると、沙耶は知らない芸能人も特設ステージ上に登場する。


観客がわぁ、と声を上げている所を見ると、中々人気があるらしい。


サッカー選手達も参加したりして、小さい子たちも興奮を隠せない様子だ。


石垣はというと、ステージの脇で、関係者と難しい顔をしてなにやら話し込んでいる。


見ている客のことを一応意識しているのか、時折作り笑いをして、私もステージを見てますよアピールをする。



―バレバレだっつーの。



沙耶は、最初は客達に混じって正面から見ていたのだが、今はステージ裏で、自分のボスを観察していた。


いつものごとく、心の中で毒づきながら。



―直ぐ帰るって言ったのに。



ポケットから携帯を取り出し、時間を確認すると、結構良い時間になっていた。


陽も沈みかけている。



―そもそも、最初はこっちに出る予定じゃなかった筈なのに。


沙耶は首を傾げる。


組み込まれてなかった予定が急遽入った。


もとい、沙耶は把握していなかったと言うべきか。


―誰かに頼まれたのかなぁ。



そこまで考えた所で、ふと、嫌な予感が過ぎった。



咄嗟に周囲に目を走らせる。





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