シンデレラは硝子の靴を
沙耶の真剣な顔つきに、自然と坂月も構えた。



「昨日の、これ、、ですけど…事故じゃ、ないと思うんです。」



「-はい。私もそう考えています。ただ詳細は秋元さんの身体がもう少し良くなってから聴ければいいかと思っていたので、敢えて今日は話に出さないでいました。。でも気になりますよね。すみません。」



坂月の顔に申し訳なさが滲み出る。



「あ、いえ-、ただ、あの何点が引っかかることがあって…昨日、、一般向けのセレモニーには、社長は呼ばれていなかったと私は把握しているのですが、社長は誰かに顔を出すように言われていたようなんです。」



「本当ですか?」



「はい。最初は私もその場で急に頼まれたのかと思ったんですが、嫌な予感がして見回すと、ちょうど社長が居る辺りにわざわざ測ったようにライトがぐらついていて。。」




沙耶の話に坂月はうーんと考え込む仕草をした。



「確かに、それは、引っかかりますね。誰に声を掛けられたか、という事については、私も直接社長に確認してみます。今度からは不特定多数の会場に出入りする際は、警備ももっと厳重にします。これ以上-」



そこまで言うと、坂月はいっそう顔を苦しそうに歪め、沙耶を見つめる。



「貴女が傷付かなくて済むように。」




-あれ。



最近どこかで見たような気がするその表情に、沙耶ははっとする。



-やだ、全然似てないのに。



石垣と坂月の表情が、いつかのあの子にリンクするなんて。



-もしかして。



坂月に訊けば、何かわかるかもしれない。
< 257 / 416 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop