シンデレラは硝子の靴を
ピン…ポーン…
どれ位、時間が経ったのだろう。
沙耶は、遠くで聞こえるインターホンの音に、かろうじて気付いた。
ピンポーン
無視しよう、という考えが浮かんだ瞬間、催促するかのように再びインターホンが鳴る。
「誰よぉ…あたしゃ怪我人だっつーの…いてっ」
当たり前だが、怪我は眠る前と同じ状態で、僅かに動かすだけで小さく悲鳴をあげたくなるような衝動に駆られる。
「うあ、、やば…」
何とか起き上ると、皺になったワイシャツとスカートに気付いて、やっちまった、と思った。
放ったジャケットは、ソファの背に掛かっていたのでまだ良かったのだが。
ピンポーン
「あー、新聞屋とかだったらマジ切れる…」
重たい身体をずるずる引き摺って、モニターの前まで行くと。
「んげ。」
鬼の形相をして。
いや、至極冷たい目をして、真っ直ぐにカメラを睨んでいる、石垣諒の姿があった。