シンデレラは硝子の靴を
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一時間後。



坂月と一緒に病院に駆けつけた沙耶は、病室の前で肩を落とす駿を見つけた。




「お母さんは?!」



問う沙耶に駿はただ首を振る。



「…発作が起きたのと、、なんか、、、どっかが破裂したとかなんとかって…今集中治療室に入って処置してもらってる…」




「そんな―」




当たり前だが母がいつも横たわっているベットは空で、それだけで心細さが襲う。




―駄目だ。


沙耶は自分が脆くなっているのに気付き、気持ちでそれを振り払った。




「駿、大丈夫だよ!ここの先生達腕が良いもん。信じよう?それより、あんた授業中だったでしょう?私の代わりに病院に来てくれてありがとね。後は私がいるから、学校戻りなさい。」



「だって…」



「言ったでしょ?お母さんは大丈夫。何かあったらもう一回呼ぶから。あんたはただでさえ成績悪いんだから、ちゃんと授業出ないと。学校終わる頃また連絡するから。その頃にはきっと落ちついてるよ。」




「…うん…そっか。そうだよね。」



不安げだった駿の顔が、姉の言葉に安堵する。


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