シンデレラは硝子の靴を
「少し前に坂月さんにもお話しした事がありましたけど…やっぱり石垣は、確実にその頃の私のことを知っています。たまに面影が重なる時もあって…」



「確認、したんですか?」



坂月の問いに、沙耶はふるふると首を横に振った。




「いえ。しようと思えばできたのかもしれないですけど、、、」



「―どうして…?」



「必要がありません。」



やけにきっぱりと言い切る沙耶に、坂月は目を見張る。




「もうあの頃の自分じゃないってことです。何より私は石垣のことが嫌いです。金持ちも嫌いです。今更のこのこと出て行って、どうこうしようなんて考えはこれっぽっちもありません。例えあいつは…そうじゃないとしても。」



「それは、、時間が経ちすぎたから、ということですか?」




坂月の言葉に、沙耶は人差し指で宙に線を引いた。




「違います。あいつと私の間には、大きな線がある。昔は知らなかっただけで最初からあった線が。それは絶対に交わらない。」




「―そうだとしても再会位はしても良いんじゃないですか?貴女は、社長に惹かれてはいないんですか?本当にその時の子だったとしても少しもそういう感情はないんですか?」



次の問いの答えは、暫く間が空く。
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