シンデレラは硝子の靴を
―ふほうしんにゅう?



自分より、幼いだろう彼女を見下していた諒は、難しい言葉を言われてカチンと来た。



呆れたように笑って見せて、




「別に不法に侵入したわけじゃないよ。道が続いてたんだよ。」




と、優位に立てるように威張って見せた。



なのに。




「へぇ…」




全く信用していない、という一瞥を食らい、その後視線を木漏れ日の方へと向けた女の子。


まるで、「もう興味ありません。話しかけないでください。」と言っているようだった。


要は、諒の存在を完璧に無視する姿勢をとった。



―なんだ、こいつ。



諒にとって、こんな女は生まれてこの方会った事がなかった。



自慢じゃないが、ルックスはかなり良いと自負している。


洋服からわかるだろうが、家柄も良い。



よって、寄ってくる女はこの年からでも掃いて捨てるほどいる。



だが、無視するような輩は、楓以外に初めてで、女としては史上初だ。


憤りよりも、好奇心が勝った。



「名前、なんて言うの?」




気付けば、訊ねていた。
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