シンデレラは硝子の靴を
「いつまでいんのよ。」



薄暗くなってきた頃。


さぁは不機嫌そうな顔を上げた。


そりゃないだろう!と思ってはいたが、頬についた擦り傷に、文句を飲み込んでしまった。



「それ、どうしたの?血、出てるけど。。。」



女なのに。

顔が傷付いたら俺のクラスの奴等、卒倒しそう。




「名誉の勲章」



さぁは涙の痕と一緒にそれを舐めて見せた。



「へ…?」



今まで泣いていた筈なのに、晴れ晴れとした顔をする彼女は、にかっと笑う。




「あんた、帰んなくていいの?」





言いながら不揃いな髪を揺らして、立ち上がる。





「んー。今日はまだちょっと。」




だって、さぁを仲間にしにきたのに。


諒が渋ると、さぁは不思議そうな顔をした。




「ふーん?私は帰るよ?」



「えっ」




なにそれ。


おかしいでしょ。


僕はさぁを待ってたのに。



「…何?」


「なっ!!!!」



「―な?」


怪訝な顔をして見下ろすさぁに、もう言ってしまえと諒は腹を括る。



「仲間にならない?」



「は?」



さぁの視線が痛い。

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