シンデレラは硝子の靴を
―お前が俺を嫌いでも。
俺はお前が好きなんだよ。
お前が、良いんだよ。
それ以外なんて、あの時からなかったんだよ。
追いかけて。
単純な約束を追いかけてきたんだ。ずっと。
それだけを見てたんだ。
誰かが、そんな約束は成立しないと言ったって。
幼い頃の気の迷いと言ったって。
俺は、あの時の誓いを、忘れたりしない。
どんなに世界が俺に罠を仕掛けても。
周囲の人間が知らないうちに自分に敵対するようになっていっても。
人への疑いが身体に纏わりつくように感じても。
あの約束があったから、ここまで来れたんだ。
真っ暗な闇の中の一筋の光のような。
窓の外から零れて射し込む暖かい木漏れ日のような。
真っ直ぐでブレなくて、そのままで居てくれる。
間違っていることは間違っていると言ってくれる。
裏表のない彼女の存在は、嘘のない世界を教えてくれた。
なのにどうして、嘘を吐く。
今になってどうして。
誰かに助けてもらうという事を、彼女は凄く嫌がったけれど。
―俺だってお前に守られてたんだ。
魑魅魍魎の世界から。