シンデレラは硝子の靴を
『でも…それは、、私のっ』
―さぁだ。
さぁの声に、諒は竹薮からそっと顔を覗かせる。
―!
見ると、中年の女が、ものすごい剣幕でさぁに食って掛かっている所だった。
小さいさぁは必死で首を横に振っている。
『あんたのものの訳ないでしょう!?こんな良い奴。家にあった里奈のを盗ったんだろう!?』
『違っ…』
バチンッと大きな音がして。
思わず諒は目を瞑ってしまう。
『汚い子。あのね、よく聞きなさい。この家にね、あんたのものなんかひとつもないの。まして、新しいものなんか与えるわけがない。うちの子達のお下がりは全部回してあげてるんだから感謝しなさいよ。』
『わっ』
女に突き飛ばされた沙耶は、そのまま勢い良く尻餅を付いてしまうが。
『ちょっと優しくしたらすぐにつけ上がるんだから。図々しい』
女は気にする事無く、ぶつぶつ呟きながら、裏庭から姿を消した。
手には、女の子用のかわいらしい、ぴかぴかの靴をぶら提げて。