シンデレラは硝子の靴を
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あの雨の夜の告白から、少し経った頃。
まだ会社に残っていた楓が帰りがけにスマホを見ると、沙耶からの着信が残っていた。
―なんだ?
車に乗り込んで、直ぐに掛け直すと、5コール目で沙耶が出る。
《はい》
「秋元さん?坂月ですけど―すいません電話に気付かなくて。…どうかしましたか?」
母親の容態もまだ落ち着いていない筈だ。
何かあったのかと気が逸った。
《あ、すいませんっお仕事中でしたよね…あの、、私、今週末に借りていたマンションを出ることにしました。それで…》
迷うような間が少しだけ空いて。
《その前に、坂月さんと話せたらと思ったんです。》
坂月の頭にはこの間の返事かもしれないという思いが過ぎるが、それにしても早すぎると思った。
―とりあえず、顔を見て話したい。
沙耶に会いたい思いも募っていた所だ、直ぐに了承する。
「―わかりました。今から伺います。どこが良いですか?」
《ありがとうございます。えっと…今病院からの帰り道なので―》
「じゃ、こないだのコンビニに入って待っていて下さい。迎えにいきますから、車で移動しましょう。」
少し焦りながら、運転した。
何故か、この先に待ち受けているものが、明るくはないような気がして。