シンデレラは硝子の靴を

坂月の車が駐車したのを見つけると、雑誌コーナーに居た沙耶は直ぐにコンビニから出てきた。



坂月も外に出て、沙耶に小さく会釈する。






「すいませんっ、なんか面倒なことになっちゃって…」






気にする彼女を安心させるように笑いかける。





「いいえ、全然面倒じゃありません。さ、乗ってください。」





坂月がドアを開けて勧めると、沙耶は申し訳なさそうに頷く。



当たり前だが、今日は見慣れたスーツ姿ではなく、短いダウンにジーパンというラフな出で立ちだった。





「…お願いします…」



「そうだ、夕飯は、まだですか?」





恐縮しながら助手席に乗り込んだ沙耶に訊ねると。





「あーっと…わわ」






代わりに腹の虫が応えてくれた。





「良かった、私もまだなんです。一緒に行ってもらっても良いですか。」





「……はい…本当に、、すみません…」




かかかーと顔を真っ赤にして、しょげる沙耶が可愛くて、坂月は気付かれないようにこっそりと笑った。


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