シンデレラは硝子の靴を
志半ばでこういう状況になったのは、自分のミスだ。この先、坂月が無理矢理進んで行った所で、必ず潰れる。だから、沙耶が警察に突き出すというのであれば、自分はここでThe end。
それは最初から決めていたことだ。
駄目になったら、そこで終わり。
それもまた、自分の犯した罪と、生きていく道なのだと、罰も甘んじて受けるつもりだった。
だが。
「それなら、教えてください。」
沙耶の放った言葉は予想に反していた。
「―え?」
坂月は俯いた眼差しを、反射的に上げる。
見ると沙耶がじっと自分を見ていた。
「どうして坂月さんがそうしようと思ったのか。」
あの頃の、黒目がちな、綺麗な瞳のままで。
「坂月さんは、絶対に悪い人じゃない。何か理由がある筈です。」
歪んだ物事に負けず。
その真髄を見極めようとする強さを、今でも失わずに。