シンデレラは硝子の靴を
「だとしても、石垣は恐らく貴女には手を出さない。石垣は優秀ですが、人を物として扱う悪い癖がある。これでは、身内から敵をあぶりだすどころか、外部の敵が増えてしまいます。」



そこまで言った所で坂月の視線が下りてきて、沙耶のそれと合った。




「貴女はそれを食い止めることができると思います。つまり、守りながら、お目付役もできる。よって適役と言えます。」




「ちょ、ちょっと待ってください…」




職なし沙耶は狼狽える。




「もしもOKなようでしたら、今日はこれで解散で、明日から勤務していただきます。住む場所は、都内のマンションが社宅として与えられますし、給料は月百万でいかがでしょう?安いならまだ上乗せもできますが。」





―まずい。。。




沙耶はごくりと生唾を飲み込む。




「もし駄目だとしたら、再びこれから石垣に呼ばれておりますので、行かなくてはなりません。」




畳み掛けるような坂月の顔が、沙耶にとって最早福沢諭吉にしか見えない。


しかもちょっと意地の悪い。




「・・・・」
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