シンデレラは硝子の靴を
「げ。」
直ぐ。
いつか見たでかいロールスロイスのお出迎えに気付き、沙耶は軽い眩暈に襲われた。
「おはようございます、秋元さん。」
秋らしいベージュのトレンチを羽織った坂月が、階段下でにこやかに挨拶する。
「……送迎、要らないって言いましたよね…?」
沙耶はそんな坂月をげんなりした顔で見つめた。
昨日、沙耶は石垣の秘書になることに決めた。
その後の坂月の俊敏な動きといったら。
直ぐに一週間分の沙耶のサイズに合わせたスーツとヒールを持ってこさせて、その中には、秋物用のコートも3着くらい混ざっていた。
―読めない人。
外面は良い人そうなのだが、坂月の考えていることはイマイチ、わからない。
秘書の件に関しても、沙耶が嫌がるとはいえ、最後には渋々承諾することを、坂月はわかっていたのではないか。
そういう風に、考えてしまう。
「記念すべき初出勤なんですから、遠慮なさらず。」
階段を下りたところで、笑みを絶やす事の無い坂月がしゃあしゃあと言うので、沙耶はぎっと睨みつけた。
「記念も何も…不幸更新記念ですか?」
「秋元さん、スーツ良く似合ってます。」
「・・・」
やはり策士だと思う沙耶だった。
数歩先では、運転手が後部座席のドアを開けて待っている。
直ぐ。
いつか見たでかいロールスロイスのお出迎えに気付き、沙耶は軽い眩暈に襲われた。
「おはようございます、秋元さん。」
秋らしいベージュのトレンチを羽織った坂月が、階段下でにこやかに挨拶する。
「……送迎、要らないって言いましたよね…?」
沙耶はそんな坂月をげんなりした顔で見つめた。
昨日、沙耶は石垣の秘書になることに決めた。
その後の坂月の俊敏な動きといったら。
直ぐに一週間分の沙耶のサイズに合わせたスーツとヒールを持ってこさせて、その中には、秋物用のコートも3着くらい混ざっていた。
―読めない人。
外面は良い人そうなのだが、坂月の考えていることはイマイチ、わからない。
秘書の件に関しても、沙耶が嫌がるとはいえ、最後には渋々承諾することを、坂月はわかっていたのではないか。
そういう風に、考えてしまう。
「記念すべき初出勤なんですから、遠慮なさらず。」
階段を下りたところで、笑みを絶やす事の無い坂月がしゃあしゃあと言うので、沙耶はぎっと睨みつけた。
「記念も何も…不幸更新記念ですか?」
「秋元さん、スーツ良く似合ってます。」
「・・・」
やはり策士だと思う沙耶だった。
数歩先では、運転手が後部座席のドアを開けて待っている。