浮気彼氏から奪うオトコ。
俺は呆然と立ち尽くした。
「…でも、その復讐しようとしているヤツが」
「じゃあ…かのんの親が言ったんだろ。
アイツは死んだんだってな…」
「な、何でそんな嘘を…」
「それは言えねぇよ、俺の口からじゃ…」
秀は凄い悲しげな表情を浮かべ、唇を噛み締めていた。
「…お願いだ。廣。その復讐しようとしている男に…、
俺の事を言うな」
「秀…」
「でなきゃ…俺は今一番好きな奴を残して、
死ぬことになっちまう…」
―秀にとって大切なヤツが、誰かは知らないけれど。
俺は黙って頷くことしか出来なかった。
「何でかのんってオンナと出会ったのか…、教えてくれるか?」
秀は悲しそうな表情のまま、笑っていた。