浮気彼氏から奪うオトコ。




俺は呆然と立ち尽くした。


「…でも、その復讐しようとしているヤツが」

「じゃあ…かのんの親が言ったんだろ。

アイツは死んだんだってな…」


「な、何でそんな嘘を…」

「それは言えねぇよ、俺の口からじゃ…」




秀は凄い悲しげな表情を浮かべ、唇を噛み締めていた。




「…お願いだ。廣。その復讐しようとしている男に…、

俺の事を言うな」

「秀…」



「でなきゃ…俺は今一番好きな奴を残して、

死ぬことになっちまう…」




―秀にとって大切なヤツが、誰かは知らないけれど。

俺は黙って頷くことしか出来なかった。




「何でかのんってオンナと出会ったのか…、教えてくれるか?」



秀は悲しそうな表情のまま、笑っていた。







< 137 / 313 >

この作品をシェア

pagetop