浮気彼氏から奪うオトコ。






「ありゃー…いつだっけな。

去年の半ばだったかな」



「…去年」



それはあの男も言っていた、彼女がいなくなった時期。

―そう言えば、アイツはお墓参りには行っていないってことか…。



「俺はいつも通り、不良として浮気しまくってた。

そんな時かのんが偶然通りかかった。

そして睨んでいたんだよ。俺や不良のことを」



すっげぇオンナだな…。

そのかのんってヤツ。



「んで、俺が話しかけたら強気な声で言ったんだ。

『こんな馬鹿なことしてないで、ちゃんとしなさいっ』って」



―かのんってヤツの、こういうとこに、アイツも惚れたわけか…。

誰に対しても、隔てなく優しいとこ。



「俺がそれを聞いて、つい見とれちまってたんだよ」


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