浮気彼氏から奪うオトコ。
「浮気ばっかだな…」
―妃鞠Story*
蒼斗クンがさっき、廣クンが屋上に行ったと聞いて、つい見に行ってしまった。
そっと扉から覗くと、廣クンはぼんやりと空を眺めていた。
どこか苦しそうで、つい彼の傍に行ってしまった。
(あたしってば、蒼斗クンがいるのに…)
それなのに、廣クンに優しい言葉を言っている。
自分でもどうしたいのか、よく分からないでいると。
「じっとしといて…」
廣クンがあたしを抱きしめた。
その時、やっぱり消えない思いはあった。
自分も抱きしめ返そうとしたときだった。
「おーい?妃鞠ー、どこにいるの?」
蒼斗クンの声が聞こえた。
あたしは廣クンから身体を離すと、その場から逃げ去っていた。