浮気彼氏から奪うオトコ。
「いったぁーい!」
「フッ、ぼんやりしているほうが悪い」
「蒼斗クンもやり返してやるっ」
「出来るものならね」
身長が足りなくて、どうやっても出来ない。
キッと睨むと、蒼斗クンはまだ笑っていた。
「あ。妃鞠、糸くずついてる」
「え?どこどこ?」
後ろを向いて、取って貰おうとすると。
ぎゅっと抱きしめられた。
廊下には周りに人がいなくて、ただ静かになる。
「……何か嫌な予感がしているんだ」
「…え?」
「………彼女が帰ってくるようでさ」
あたしも…どこか悪い予感はずっとしている。
そう―…、柚希が話したあのときから。