浮気彼氏から奪うオトコ。
そっと蒼斗クンは、あたしから離れて、微笑んでいた。
「でも俺…大丈夫だと思う」
「え…?」
「昨日…とある人と少しだけ和解できたみたいなんだ」
そう言った蒼斗クンは、安心しているようだった。
「あぁ、勿論浮気じゃないよ」
「知ってるよ」
「ならよかった。じゃあ授業始まってるし、どっか行かない?」
「サボっちゃうの?」
「今更2人で行くほうが目立つって」
「んー…、じゃあ中庭でも行く?」
「そうだね」
廊下を歩くと、蒼斗クンが歩幅を合わせてくれる。
こんなにも優しいのに、さっきから罪悪感ばかり感じている。
―…本当に、こんな気持ちのまま蒼斗クンと付き合っていいのかなぁ。
もやもやが胸の中で残ったまま、気づけば中庭に着いていた。