浮気彼氏から奪うオトコ。

「妃鞠って呼んでいい？

ちゃんをつけるとかなれないからさ」

「あ、いいよ」


「…私どうしたらいいんだろ？」

「ん…？」

「記憶を戻したのは、先月なんだけど…。

それまで最低な男と一緒にいたんだぁ……。

それを蒼斗が知れば、許してくれないんだと思う」

「…そんなことないよ。

蒼斗クンはずっと待っていたんだよ。かのん…のこと」




呼び捨てにしたほうがいいかと思って言うと、

かのんは少しだけ頬を緩めていた。


「それってさ…妃鞠には他に好きな子いるってこと？」

「あ…」

「そっかぁ…。ごめん。でも…蒼斗はもう私の事は」


「元々あたしと蒼斗クンは、同情で付き合っていたから。

まだ好きだと思うよ」



蒼斗クンは誰よりも幸せになって欲しい。

心からそう思う。だから―…どうかいなくならないで欲しいんだ…。