浮気彼氏から奪うオトコ。
そこまで言うと、何故だか悲しくなった。
「何で泣きそうなんだよ」
「…わかんない」
「俺と離れるの怖いんだろ?」
「違うよ…」
「…俺は怖いよ」
そういった廣クンこそ、泣きそうで、きゅっと唇を噛み締めていた。
「1年後なんて、どうなってんのかわかんねぇんだし」
「…信じあえる仲なら……、待てるでしょ?」
あたしが強くならなくちゃ。
きっとこの先、何かもめたら耐えられない。
「じゃあ待ってやるよ」
「…うん」
「早く別れろよな」
「……同情で付き合いだしたんだし。元カノさんが現れたんだもん」
「…あのオンナ、記憶喪失なんだよな」
「もう記憶は戻っていたけどね」