浮気彼氏から奪うオトコ。
初々しいなぁ、なんて言っていると。
蒼斗の手のひらが、私の腕を掴んでいて、そのまま布団に倒れこんだ。
「好き…、かのん」
「私もだよ」
「…うん」
「蒼斗がいてくれて、本当に幸せだよ」
「知ってる。いつもそう顔に書いてあるんだし」
「え!?嘘!」
鞄から鏡を取ろうとすると、蒼斗に阻止される。
「…キスしていい?」
「そういうのいちいち聞かないでよ」
蒼斗は頬を緩めて、すぐにキスをした。
そっと目を閉じれば、眠気が強くなっていく。
「かのん、寝ちゃうの?酷くない?」
「んー…」
「全く…俺にどんな気我慢させればいいの」
呆れる声を最後に、蒼斗との一晩はあっという間に終わった。