浮気彼氏から奪うオトコ。
蒼斗は悲しげな表情を浮かべたままだった。
「死にたいって思ったときに、あの男は必死に止めていた。
やめろって…。
でも私は苦しくて…、自分の腕を痛めた」
そっと袖をまくると、痛々しい傷跡が見える。
「…蒼斗。ごめんね」
謝ることしかできなくて、その場に泣き崩れた。
「かのんがいなくなってから、俺は生きた心地がしなかったんだ…」
ぽつりと呟いた蒼斗は、そっと私を見つめていた。
「そんな時妃鞠ちゃんと出会って、そして……。
同情の付き合いから、きっと恋に変わっていた。
かのんの事は忘れてなんかいないし、ずっと会いたかった。
だから…今の俺ははっきりと決められないんだ」
そこまで蒼斗は言うと、俯いてしまった。
「…1年だけ待ってよ。かのん」
「……え?」