浮気彼氏から奪うオトコ。
「揺れる恋心」
―妃鞠Story*
次の日無事に退院をして、家に帰れた。
帰り道、ずっと廣クンが一緒にいてくれた。
ずっと無言のままで、時々目が合うくらいだった。
「妃鞠、ちょっと寄り道していいか?」
「ん?どこに?」
「着いてきてくれたら分かる」
そう言った廣クンは、あたしの腕を掴んで走り出した。
「ちょ、ちょあたし治ったばかりなんだけどっ」
「運動不足だろ?太るぜ?」
「なっ!」
「太ってたら、アイツも嫌がるだろ?」
「蒼斗クンはそんな人じゃないもんっ」
イラッとして言い返すと、不意に廣クンが立ち止まった。
その背中に思い切りぶつかる。
「いたっ、廣クン!いきなり止まらないでよっ」