浮気彼氏から奪うオトコ。
あたしは廣クンを見上げた。
廣クンはずっとあたしを見つめて、少しだけ微笑んでいた。
「一途なとこ」
「…え?」
予想外の言葉に戸惑っていると、廣クンはまた歩き出した。
今度はあたしの手を握り締めたまま。
「あの、あたしまだ…蒼斗クンと」
「知ってる。そんなもん」
「これじゃあ浮気になっちゃうよ」
「いいじゃねぇか。今くらい」
「…どういう意味?」
隣で歩幅を合わせてくれる廣クンは、もう止まる事はなく、ただ俯いていた。
「次なんて、いつ来るかわかんねぇじゃん?」
「…そういう意味ね」
「まぁ、俺はずっと繋いでいたいぜ。…俺だけはな」