浮気彼氏から奪うオトコ。
「だるいから。お前といると」
「…そか」
廣クンは、ずばっとはっきり言う。
それは傷つくことばっかり。
素直になってほしくない、そうは言いたくない。
(…あたしがこんなに、つまらない人だからか…)
俯いていると、頭を優しく撫でてくれた。
「愛してるじゃん、でも」
「…知ってる」
「妃鞠は?」
「…好き、だから付き合ってるんじゃんか」
「っはは、本当にいい子ちゃんですねー」
そういって、彼はどこかに行ってしまった。
(放課後になっても、いつもこんな感じ…。
恋人同士って、こんなんじゃないのに…)
すると、苺ミルクを持ってきた。
「ほら」
「ありがと…」
地味で、静かで大人しいあたしにとって、カレは初めての彼氏だった。
告白してきたときは、本当に嬉しかった。
(…だけど遊びなんだよね。これも…)
分かっているのに、あたしはずっと引きずっているんだ…。