浮気彼氏から奪うオトコ。





次の日、蒼斗クンの病室に花束を持っていった。

あたしにとっては、とても思い出のあるジャスミンの花束を。



ノックを3回して、部屋に入ると、蒼斗クンは窓の外を眺めていた。

「あ。妃鞠ちゃん」

「蒼斗クン」



病室を閉めると、花束を蒼斗クンに見せた。


「お見舞いっ」

「へぇ、ジャスミンかぁ。綺麗だね」

「いい香りでしょ?あたしの一番好きな花なんだ」



―笑顔でいるんだ。

―泣き虫は昨日さよならしたんだから。



「あのね、蒼斗クン。話があるの」

「ん?」


―やめてよ。そんな優しい顔で見ないでよ。

―本当は別れたくない。やっと手に入れた幸せだったのに…。



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