浮気彼氏から奪うオトコ。
俺は妃鞠が一途なヤツだと思っている。
それは、俺の事が好きだったときも、今アイツが好きなときも―…。
「見ろよ、この景色」
俺等の思い出の場所に連れて行くと、妃鞠は少しだけ頬を緩めていた。
そんな妃鞠を見て、やっぱり幸せになってほしいと思った。
だから必死に背中を押したんだ。
―アイツが好きなら、素直になれよ。
―後悔はすんなよ。
俺の口から出るのは、妃鞠を必死に応援する気持ち。
だけど…心から言いたいのは、いつだって同じだった。
―俺のところに戻ってきて欲しい…。
そんなワガママを言えば、妃鞠を困らせてしまう。
だからぐっと抑えて、そのまま家に帰った。