浮気彼氏から奪うオトコ。





家に帰ると、嫌な予感がした。

妃鞠がアイツと別れる道を選びそうだって―…。




次の日、妃鞠が家を出たのを見て、俺は先回りをして病院に行った。

そして妃鞠が前にいた、ベンチに腰を下ろした。



(…やっぱ来た)



妃鞠は花束を持って、病院に入っていった。

俺はそれを見て、少しだけ安心していた。



(なんだ、別れなんて言うワケねぇか)


そう思い、家に帰ろうと踵を返した瞬間だった。




「えっ…」


妃鞠が凄い勢いで、俺の横を走りすぎていった。


その妃鞠の目には、大粒の涙が見えた―…。



俺は必死に妃鞠を追いかけると、やっとの思いで、腕を掴んだ。

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