浮気彼氏から奪うオトコ。
涙ぐんでいるかのんを見れば、嘘じゃないってことは分かる。
「妃鞠ぃー…、私のせいかなぁ…」
ぎゅっと抱きしめてきたかのんは、凄く震えていた。
あたしは首を横に振った。
「違うよ…、きっとあたしのせいだよ」
「それも違うと思うよ…」
かのんは泣きながらそういうと、そっとあたしから離れた。
「……何で突然いなくなっちゃうんだろ」
小さく呟いたかのんの言葉に、あたしも頷いた。
「ったく。お前早すぎ…って」
「あ…廣クン」
息を切らしながら廣クンはあたしを見て、それからかのんを見た。
「あの病室にいた時の人…」
かのんはそう呟いて、廣クンを見ていた。