浮気彼氏から奪うオトコ。
「…んで?その置手紙以外は、何もなかったんだな?」
「うん…」
廣クンは大木にもたれかかると、ため息を零した。
「唐突なヤツだなー…」
「…うん」
あたしが今度は頷くと、廣クンはいらついているようだった。
「おい、あんたさ。あの男に言ってたんだよな?
1人より2人の方がいいって」
「…あぁ。言ったよ?」
「…あんたに言われても、1人で消えるってことは……。
よほどのことがあったんだろ。
待とうぜ、アイツが帰ってくるまで」
あたしはそっと空を眺めた。
青い空は、いつもと変わらないのに。
―ねぇ、蒼斗クン。あたしが一方的に言っちゃったまま、いなくなっちゃうなんて。
ありえないよ―…。