浮気彼氏から奪うオトコ。
かのんはあたしをまっすぐに見つめた。
「蒼斗は…きっと来年、この丘の上に帰ってきてくれる」
「え…?」
「約束したんだよ。1年間待ってて、って」
「そっか…」
チクッと胸が痛んでしまう。
それを見かねたのか、廣クンは立ち上がって、あたしの肩を抱いた。
「じめじめすんなよ。死んでねぇから」
「…ん」
励ましてくれたのか、廣クンは微笑んでくれた。
「急に呼んじゃってごめんね…、妃鞠」
「ううんっ、大丈夫。教えてくれてありがと」
かのんに対して、本当は嫉妬していた。
蒼斗クンとの過去を聞いてから、ずっとそうだったけど―…。
そんな気持ち、もう吹っ飛んじゃった。
かのんが、どれほど蒼斗クンを好きだったか分かっちゃったから…。