浮気彼氏から奪うオトコ。
あたしは手に持っていた鞄を放り投げて、お父さんの近くに行った。
「ずっと待たせたな…、我慢していたろ?」
「お父さんっ…遅いよ!帰るの」
「だからお父さんと海外に住まないか?母さんもあっちで暮らすつもりだし」
「……え?」
―海外に行くって事?
―そんなことしたら…、2度と蒼斗クンにも廣クンにも会えない…。
「まぁ時間をやるから。明日の朝までに考えてくれよ」
「明日の…朝?」
「朝には出るんだ」
お父さんと視線がようやく合うと、悲しげだった。
小さい頃から、あたしを支えてくれたお父さん―…。
そんな時、チャイムが鳴った。
「あ。ごめん、ちょっと出てくるね」
「あぁ」
お父さんを置いて、玄関に出ると―…。