浮気彼氏から奪うオトコ。
廣クンが手に何かを持っていた。
「元気ねぇときは、甘いもんでも食えよ」
「廣クン…」
泣きそうな表情で見つめると、さすがに廣クンも何か気づいたみたいで。
「ちょっと家に来いよ。今日も親帰らねぇんだわ」
「うん…」
靴を履いて家を出ると、つい後ろを振り返ってしまう。
「…なぁ妃鞠」
「……?」
「妃鞠までどっか行っちゃうとか、ねぇよな…?」
「…え?」
廣クンが玄関に入ると、あたしもその後に着いて行く。
「何かさ…昔妃鞠がくれたビーズのブレスレット。
壊れちゃったんだよ…、すっげぇ偶然でさ。怖くて」
「な、何それ。怖いねぇ。本当に…凄いよ…」