浮気彼氏から奪うオトコ。
その姿に驚いたお父さんは、目を見開いていた。
「俺は―…好きなんです」
廣クンがそこまで言ってくれている。
あたしがずっと欲しかった言葉を言ってくれている。
気づいたら、廣クンの隣に座り込んでいた。
「あたしも…廣クンのお嫁に行きたいの。お父さん」
―蒼斗クンに対して、感情がなくなったわけじゃない。
でも…、蒼斗クンにはかのんがいるんだ。
だから忘れる。
3度目の恋をするんだ。
もう誰も失わないためにも。
大切な人を応援するためにも。
「妃鞠が言うなら、行って来い。その代わりソイツが嫌いになったら、すぐに外国に来い」