浮気彼氏から奪うオトコ。
そのままお父さんは背を向けて、
「支度をしろ。この家を空けなきゃいけないんだ」
ぶっきらぼうに言って、部屋を出て行った。
あたしはほっと胸を撫で下ろした。
「緊張したわー…」
「はは。廣クン凄かったよ」
「…気持ち。届いた?」
「……十分すぎるくらいね」
「そか…」
くしゃっと微笑んだ廣クンは、どこか嬉しそうだった。
「じゃあ部屋の荷物、片付けんの手伝うよ」
「ありがとう」
あたしの部屋に入ると、色々な思い出の物があった。
「ねぇ廣クン、これ覚えている?」
「んあ?」
「ほら。中学校で交換した名札」