浮気彼氏から奪うオトコ。
「気分でいいの」
「気分?」
誰かさんに言われた言葉を、ふと口ずさんでいた。
「その時次第の気持ちでいいんだ」
「そうか…」
「それに廣クンほど、あたしをわかってくれる人はいないんだから」
―そう。
あたしの心の中に、まだ蒼斗クンがいたとしても。
廣クンを忘れた日なんて1度もない。
「お父さん、あたしを小さい頃から支えてくれてたよね。
本当にありがとう。ずっと元気でいてね」
心から思うことを言うと、お父さんは涙を浮かべていた。
「言うようになったじゃん…妃鞠。さっきは言い過ぎちゃったな」
泣き虫なところが変わらないお父さん。
でも凄い優しいんだ。