浮気彼氏から奪うオトコ。
○ 俺じゃダメなのかよ? ○
「焦らなくていいよ」
「ふぁー…」
あたしがあくびをして、背伸びをしていると。
「やぁーっと終わったぜ」
「んー…」
「ほとんどいらねぇ物ばっかだったな」
「これでも頑張って捨てたんだよ。過去に囚われちゃダメだもん」
「…ふぅん」
廣クンは小さく頷いて、あたしの荷物を掴んだ。
「行こうぜ」
「あ、うんっ」
最後に自分の部屋を見渡すと、子供の頃の記憶が甦る。
テーブルに向かい合って、廣クンと勉強をした。
それに壁中に写真とか貼ったり。
いろんなことをして、沢山怒られて。
数え切れない思い出は、いつの間にか過去になっていた。
「ねぇ廣クン」
「んあ?」
「ごめんね―…?」
「…いいよ、別に」