浮気彼氏から奪うオトコ。





病室で彼に別れを告げたときから。

ずっと泣かないと決めていたのに―…。


「…あたしっ。廣クンと婚約をした……。

それなのに心の奥では、ずっと…蒼斗クンを求めてた。


別れを告げた…時もずっと…苦しかった。

振り返って、嘘だよって言いたかった…。

あたしをいつだって救ってくれたのは…蒼斗クンだけだった」



―お父さん、ごめんなさい。

あたし、やっぱり自分の気持ちに嘘はつけない…。

どうしても消えてくれない感情があったの。



「…あたし、好き。蒼斗クンが好き……」



―彼の腕の中ね。

すっごく温かいの。



―辛いとき、普通なら誰だって自分の事で精一杯で。

気づいてくれないものなのに。


彼はいつもあたしだけを見てくれていたんだよ―…。



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