浮気彼氏から奪うオトコ。
「あのさ…かのんとはちゃんと、過去に別れてきたんだ」
「…え?」
「俺なりに、彼女を探すのはもう終わった。
彼女を好きでいるのも…、それは恋愛感情ではないけど、大切な人であるのは変わらない。
でも、俺にとって何よりも大切で、好きなのは…」
もう1度蒼斗クンの手のひらが、あたしの手のひらに触れた。
「妃鞠ちゃんだけだった…」
「…うん」
「婚約、解除してもらってよ。親公認とか困るんだけど」
「えへへ…」
「それと俺と一緒に着いて来てくれない?」
「…ん?」
「新しいアパートに」
その言葉に驚くと、満面の笑みを浮かべていた。
「置手紙は、かのんに俺の事を探さないでって伝えたんだけど。
それじゃあ離れてないみたいで、ダメだと思った。
だからさっきちゃんと話し合って、それから物件探してた」