浮気彼氏から奪うオトコ。
にらみ合う2人の間で、あたしは思い出した。
風邪を引いたときにくれたクッキーを。
「それと妃鞠。隙を見せるんじゃねぇぞ?
こんなオトコが好きなら、ちゃんと一途になれ。
迷わなくていいんだから」
「…廣クン。ありがとう」
「もー何でもいいから。妃鞠、結局誰が好きなんだ?」
「蒼斗クンだったの。彼はずっとあたしを救ってくれたから」
少し微笑むと、蒼斗クンは頬を赤く染めていた。
「妃鞠が相当悩んで、婚約までしちまうってことは…。
好きってことは分かった。でもあんたはどうなんだ?」
お父さんが蒼斗クンを見た。
蒼斗クンはきゅっと唇を噛み締めていた。