浮気彼氏から奪うオトコ。
かなり呆れているお父さんから、荷物を受け取った。
「ごめんって」
「はぁ…、こんな妃鞠だからこそ、お前がしっかりするんだぞ?」
「勿論ですよ」
さらりと笑顔で応えた蒼斗クンに、つい見とれてしまう。
それを見たお父さんは、またため息をついていた。
「お父さん、幸せ逃げちゃう」
「あ。そうだったな、すまん。じゃあもう行くよ」
「ん、じゃあまたねっ!ありがとう」
手を大きく振ると、お父さんも振り返してくれた。
そのまま車に乗ったのを見て、最後まで見送った。
「じゃあ行こうか、妃鞠ちゃん」
「そうだね」
蒼斗クンはあたしの荷物をさりげなく持つと、バイクに乗せてくれた。