浮気彼氏から奪うオトコ。
ジャスミンの花束が、あたしの目の前に差し出された。
「愛してるよ、妃鞠」
蒼斗クンが突然あたしを呼び捨てで呼んでくれた。
そっと目を閉じた蒼斗クンは、口元を緩めていた。
「俺とずっと一緒にいてください」
あたしは花束を受け取ると、抱きしめた。
「勿論だよ―…」
あたしは蒼斗クンの裏にある大木に気づいた。
「ねぇ、ここにジャスミンの花を植えない?」
「お。いいね」
花束から一本抜くと、大木の傍に埋めた。
「また種を買わなくちゃね」
「そうだね。後指輪も買わないと」
「だね」
1年後、また君と一緒に、ここでジャスミンの種を埋めようと約束した―…。