浮気彼氏から奪うオトコ。
「……あーぁ。
俺って何でだろう。
どうしてか、妃鞠ちゃん…」
「…?」
「恋に囚われたまま、
ずっと逃げてるんだよ…。
この悪い夢から早く覚めたいって。
そればっか思ってる」
―悪い夢。
それはあたしも同じ気持ちだった。
廣クンが浮気を重ねるうちに、
きっと夢だろうと思い込むようになった。
そうすれば、きっと目が覚めたら何事もないんだから。
「廣クンは昔と全然違うんだよ。
もっと優しかったし、浮気なんてしなかった…」
彼が浮気をするようになった理由。
それは分からないけれど。
きっかけはきっとあった気がするんだ…。