浮気彼氏から奪うオトコ。
功クンに手を引かれ、あの丘の場所に着いていた。
涙でぼろぼろになった、あたしの酷い顔。
それなのに功クンは笑わず、真面目な顔をしていた。
「ここらで座っちゃおうか」
功クンが小さく微笑んで、さりげなくジャンパーを地面に引いてくれた。
「ありがとう…」
あり難く座らせてもらうと、功クンは隣で寝転んでいた。
あたしも寝転ぶと、月がとても綺麗に見えた。
「……別れたの?」
唐突に聞いてきた言葉に、あたしは息が止まりそうだった。
「どうしてそう思う…?」
「妃鞠ちゃんが泣くときは、アイツが浮気をしていたとき。
そうでしょ?」
「…うん」
「それと今日は俺に抱きついた。
それで確信したんだよ」