浮気彼氏から奪うオトコ。
「そっか…」
功クンが小さく「嬉しかった」と言った。
「妃鞠ちゃんがまさか抱きしめてくれるなんて。
思いもしなかったから」
切なそうに笑うと、あたしの手を優しく握った。
「俺は復讐をしたかった。
俺の何をあげてもいいくらい、彼女を愛していた。
一瞬で彼女を奪い、この世から消したアイツを。
俺は許せなくて…」
もう1度彼女との思い出を思い出すように、
ゆっくりと話し出した。
「でも……復讐は意味がなかったのかな」
その言葉は、何かを諦めていたようだった。