浮気彼氏から奪うオトコ。
「じゃあ、俺と付き合っちゃう?」
「え」
きゅっと手を握られる。
人の体温がこんなにも温かいって、初めて知った。
「可哀想なキミには、王子様が迎えに行くものだよ?
あ…俺は、王子じゃなくて。不良なんだけどね。
でも頼って欲しいな」
「貴方を…信じていいんですか?」
「全然構わないさ」
カレの瞳は凄く真剣で、でもすぐに微笑んでくれた。
「でも…付き合えません。あたしはまだ…カレが好きだと思うので…」
「へぇ?横暴にキミを扱う彼氏が?参ったなぁ…。
じゃあ俺もこの学校に転入しちゃおーかなっ」
「え!?ここの生徒じゃないんですか??」
「不良だからね。俺は」
「あ…」
頬に手が触れる。あたしはきゅっと目を閉じた。
「怖いかい?俺が」
「いえ…、何か…目を閉じちゃって…」
「大丈夫だよ。何もしないさ」