浮気彼氏から奪うオトコ。
その声は心の奥から絞りだすようで。
苦しそうだった。
「妃鞠だけは……渡せない」
昔から小さなことで泣いてしまう廣クンがほっとけなかった。
意地っ張りで、嘘つきで。
いつの間にか、廣クン中心の人生だった。
甘いアイスも、廣クンと半分個。
辛い気持ちも、嬉しい気持ちも半分個しあった。
「妃鞠ちゃんを渡すも何も、彼女はずっと君が好きだったよ」
「は…?」
「俺がどんなに傍にいても、君を目で追っていた。
でも…俺は負けなんて認めないよ?」
言っている意味が分からない、と廣クンが呟いたときだった。
「2人の間に、永遠なんて未来はないんだから」
功クンの拳が、廣クンの頬に思い切り当たっていた。