浮気彼氏から奪うオトコ。
―小さい頃。
廣クンは、1人ぼっちだった。
あれはいつの記憶だろう。
まだ幼い廣クンは、親がほとんど家にいなかった。
そんな時あたしはいつも傍にいた。
そうしなくちゃ、廣クンは悪い人になりそうで。
怖くなったから…。
初めは「孤独な人」だと思っていた。
でも沢山の女の子と付き合う廣クンを見たら、
あたしなんて不必要だと思った。
そう思い始めたある日、廣クンと帰っていたとき。
「なぁ、妃鞠」
「?」
「お前だけは傍にいてくれんだろ?」
「え…?」
「俺が最低なヤツになっても…、
傍にいてくれんだろ?」
いつもより自信のない廣クンに、あたしは微笑んだ。